役場 市役所 四十二年

№９１０ それからちゅうもんは

　　　　　

　　　　　　それからちゅうもんは、阿品の人達は、あの大けな岩を

　　　　　「十兵衛岩」と言うようになったんよー。

　　　　　今も十兵衛岩はあるし、

　　　　　その下にゃー大けな岩があるんで、

　　　　　ほいじゃけー　いまは、近寄る者もおらんようになった。

№９０９ 大けな 大けな

　　　　　　　大けな　大けな　たこ入道じゃったげな。

　　　　　　　どうでも足が、１．５㍍ぐらいもあって

　　　　　　　その足で、十兵衛を引っ張り込んどったげな。

　　　　　　　十兵衛を抱えたまんま、一緒に上がってきたげな。

　　　　　　　十兵衛はかわいそうに、はあ　死んどったげな。

　　　　　　　「まあ　何ちゅうても、　大けなたこ入道じゃのー。」

　　　　　　　「かわいそうに、十兵衛はたこ入道の足で、しめ殺されたんでエー。」

№９０８ その中にのー

　　　その中にのー。

　　　目の光った、　いびせえ怪物がおるんじゃー。

　　　大人が二人行ってガンツキで突いたりして、

　　　とうとう　ひっぱり出したんじゃー。

　　　いったい何じゃと思いさるかいのおー。

　　　「うるさいのー！どうしたんじゃー」と出てきたのは？

№９０７ そうこうするうちに

　そうこうするうちに、大人も集まって来てのー

　皆で岩に近くを探しよおったら　　

　あんた！

　その岩の下にのー　大けな　大けな

　穴があるんじゃあ。

　どうもその中がおかしいと言うんで　

　潜って行って　調べたらのー。

№９０６ ある夏のことじゃが

　

　ある夏のことじゃが、子どもが泳ぎよったらのー。ひょこっと十兵衛が見えんようになったんじゃあ！

　「十兵衛がおらん」「十兵衛がおらん」とみんなで大騒ぎになってしもうた。

　「どうでも岩まで泳ぎに行きょうって、おらんようになったらしい。」

　こどもたちゃあ、急ぎで大人を呼びにいったんよ！