№20 阿品の沖に「蓬莱島」出現
2009年 01月 01日
蓬莱島と言うのは、中国の伝説に出てくる絶海にある仙人の住むと言う、目出度い島である。
4月から5月ごろの天気が穏やかで、波の立たない暖かい日に、阿品の沖合いはるか、金色に光輝く白砂青松の美しい景色が現われ、金の屏風を連ねたように見えたと伝えられる。
これは蜃気楼と考えられ、宮島の「聖崎」や「能美島」の風景が、空中に浮かび上がるように見えたり、遠くの景色が近くに見える現象である。
むかしの人は大蛤(おおはまぐり)か、大蛇に似た蛟(みずち 龍の一種で蛇に似て脚が4本ある)が気を吐いた仕業と考えていた。
郡辻書帳雑事奇談より
往古より四月(旧暦)頃、海上が穏やかな日、沖合いに当って「蓬莱島」が浮くことがある。見受けた者も間々ある。このことは多くの人々が全く承知していることである。海上での珍しい出来事なのでこのことを書いておく。
芸藩通史より
そのよそおいは、金色に光輝くうちに、洲や渚も見え青い松などの景色も現われ、金の屏風を引き回したように見えるという。これは蜃気の類かもしれない。霊亀が浮かび揚がったというよりは、蓬莱島と呼んだほうが似つかわしい。今もこれを見た人が少なくない。土地の人は丑(うし)の日に現われるといっている。
見受けた者も間々あるということであるが、阿品に長年住んでいても「蓬莱島」を見たことがない。
旧暦の三・四月の丑の日、風静かで波穏やかな暖かい日に、宮島の「聖崎」方面に目を凝らしてみてはどうだろうか。
# by hirosan_kimura | 2009-01-01 06:55 | 伝説民話 | Comments(2)