素人が調べたもので誤りも多々在ろうかと思いますが、気のついた点はご指摘を頂き、古い資料や写真等があればご一報いただければ幸いです。


by hirosan_kimura

№113 田尻の忠犬

№113 田尻の忠犬_e0125014_1314610.gif 昭和30年代の田尻はふじタウンも開発されていず、鉄道線路と後ろの山の間に数軒家があるのみというような寂しいところであった。

 鼓ケ浜も埋立てられていず、後ろの山との間の僅かの平地の前は鉄道線路、並行して国道と広電宮島線が走りその前は海。国道に出るには踏切もない鉄道線路を渡らなければならなかった。

 そこにあるお年寄りが住んで居られたが、一番近い商店は阿品で唯一の藤川商店のみ。店に行くには鉄道線路を渡り、国道沿いに一㎞くらい歩いて行く必要があった。

 お年寄りにとって店に買物に行くにはきつかったが、そこで飼っている犬が買物に行っていた。買物かごを首に下げてもらい、中に買う商品を書いたメモとお金が入れてある。

 その犬は自分だけで踏み切りを渡り、国道沿いに歩いて店まで行っていた。お店の人も心得たものでその犬が来店すると、かごの中のメモを見て必要な商品とお釣りをかごに入れ首に掛けていた。店の用事が済むとまた家まで帰って来るのである。

 当時は鉄道を通る列車本数も少なく、国道も今では考えられないほど交通量も少なかったが、それにしても感心な犬であった。

 阿品の人々は「田尻の忠犬」と呼んでいた。

 写真の犬は「田尻の忠犬」ではない。
by hirosan_kimura | 2009-04-06 04:43 | その他 | Comments(0)