№88 庭のおやつ
2009年 03月 10日
植えてあったのは、ぐいめ・こんめ・はらんきょう・柿・梨・いちじく・バナナが鬱蒼と繁っていた。家の前にはクルミの大きな木もあった。
はらんきょう
「はらんきょう」と云っていたが、「巴旦杏(はたんきょう)」が正確と云うことだ。「すもも」「あんず」の仲間らしい。春に白い花が沢山咲き、梅雨過ぎに食べられる実が成っていた。
真っ赤に熟すと甘くて美味しいが、熟すまでに待ちきれず酸っぱいのを我慢して食べたり、熟すまでに虫が食べたりするので、真っ赤になるまでに無くなり今でも家のはらんきょうは酸っぱいイメージしか残っていない。
この木は家の角に植えてあったので、木の大半は道路に張り出していた。道路に張り出していたと云っても、人が通るだけの道であり利用するのも二・三軒だけの道である。今の時代だと道路の上に木が張り出していればどこからか文句が出るかも知れない。
道路にはみ出した枝の3㍍足らずの所に、畳一枚程度の板を張り良くそこで遊んでいたのを思い出す。狭い所に子供が何人も上がり、本を読んだり勉強をしたり、トランプ・花札など暇さえあればそこで遊んでいた。
余り太い枝でもなく、そこに子どもが5・6人上がることもあったが、よくも枝が折れて怪我をしなかったものである。
こんめ
本当の名前は「ゆすらうめ」であるが、梅の実を小さくしたような形で「小梅」が訛って「こんめ」になったのかも知れない。余り大きな木にはならないが、熟すと甘くてとても美味しいものである。子どもの頃には良く見かけたが、今は余り見ることも少ない。例えあったとしても、美味しい物を食べ慣れた今の子どもは見向きもしないであろう。
バナナ
子どもの頃はバナナと云っていたが「芭蕉 ばしょう」が正式名称らしい。尤もバナナも芭蕉も同じ仲間である。花が沢山咲き、バナナの赤ちゃんが房に鈴なりに成っていたが、本当のバナナで無いせいか、南国の植物で温度が足らないせいか分からないが、指の太さぐらいから大きくならず、実を食べることは出来なかった。しかし花の蜜はとても甘く、良く花の芯の密を口で吸い取っていた。
柿の木があったが 渋柿で家の柿は余り食べなかった。「ぐいめ」は「ぐみ」が正しい名前であるが、家の「ぐいめ」は熟れても酸っぱかったが、良く食べていた。
「いちじく」は甘く美味しかったが、皮の白い汁が口の周りに付くとかぶれて痒かった。梨の大きな木が有り実は付けていたが、木の種類のせいかピンポン玉くらいより大きくならず、虫もたくさん付き家の梨を食べた記憶も無い。
家の前に「くるみ」の大きな木が有ったが、実を付けた記憶も無い。
果物が熟す頃、鈴なりになった「枇杷」や「はっさく」「きんかん」「柿」などが収穫もされず朽ちるのを良く見受けるが、まことにもったいないと思う。溢れるほど美味しい食べ物の囲まれた子どもには見向きもされないが、果物が熟す頃あちこち巡って食べ廻った子どもの頃を思い出す。