職場で配置転換があった場合、相互で事務の引継ぎを行い余程のことがない限り新しい職場に勤務するが通常である。余程 高度の技術で習得に長期を要する場合を除き、一般事務の場合は長くて二・三日で引継ぎを終えるのが慣例である。
今回の配置替えでは二人しかいない担当者が同時に移動になったにせよ、当面の間 午前は旧職場で午後は新職場に勤務するとは異例の措置だろう。新担当者が上司にどのような交渉をした結果は分からない。自分としては釈然としないが、住民課長・水道事務所長が協議の上決められたことであり指示通リに従った。
こちらとしては新しい職場に迷惑をかけて申し訳ない気持ちであった。しかし新年金担当者はこちらが思うほど気の毒がることも無く,至って気楽で気を使っているようでも無かった。
古いメモを見ると「4月14日(水)午前年金未納者督促」とある。年金担当在職中に年金未納者の納付督促には力を入れていたので、残っているのは一筋縄ではいかない人たちばかりであった。督促に行くと何回も来てくどい、二度と家に来るなと追い返されるような方ばっかりであった。このような人を訪問しても怒鳴られるのが分かっていたが、新担当者に机の上の事務ばかりでないことを知ってもらう思惑があった。今から60年くらい昔のことでハッキリ記憶しているわけではないが、おそらく訪問に行っても怒鳴り返されたような記憶が残っている。同行した若い職員はびっくりして「このようなことまでしなければならないのか」と驚いていた。
このことがあって職務に対する取り組み方が少し変わったようであった。その後もここまで詳細に指示しなければならないかと思うほど、微に入り細に入り同じことの繰り返しのような日々を繰り返し、5月末までこの状態が続いた。
この間、午後は水道事務所の業務の習得に取り組んだが、何もかも新しいこと、経験したことのないことばかりで戸惑うばかりであった。水道事務所では事務の補助、水道メーターの検針、機材の管理、水道施設・設備の勉強、各種機器の運転操作の習得等、ずいぶん苦労したものである。
この間 常に気になっていたのが、近日中から夜勤・日直当番をしなければならないことであった。これらの当番は一人でこなさなければならず、その日の水道の使用量に応じて送水ポンプを始動したり停止した、その他機器の操作を行う必要があった。
最初は何を聞いてもちんぷんかんぷんであったが、空き時間を利用しては何回も繰り返し教えてもらった。他の人はそんなに深刻にならなくてもだれでも出来るとは言うが、頭の痛いことであった。
6月1日(火) 本日より水道事務所常時出勤とある。早速その日より3日間、水道メーター検診。とある。