№1006 国民年金   

 国民年金は昭和34年に法が制定され福祉年金は昭和34年、拠出年金は昭和36年に発足している。当初は職員一人で年金事務を行っておられたが、業務量の多さからか担当者の性格によるものからかは分からないが、事務が滞り精神的に行き詰まり、欠勤される日が続いたそうである。

 このまま放置するわけにも行かず、優秀な職員が配置された。就任された方も何処から手を付けて分からないくらい業務が溜まりにたまっていたが、少しづつ整理していかれた。いくら頑張っても一人の担当では難しいので、職員を一人増員することとなり、その部署に配属され勤務することとなった。

 当初は停滞した事務を整理していくことと、西も東も分からない新任職員の育成で混乱する日々が続いたようである。それでも少しづつ業務の整理が出来、新しい仕事にも慣れて軌道に乗っていった。

 国民年金は加入者と国が一部負担する拠出年金。制度発足時に一定の年齢を超えていた人のための福祉年金があった。福祉年金はともかく拠出年金については様々な抵抗があった。既存の企業年金・公務員の共済年金等に加入していない自営業者とうは強制加入で、年金保険料を納付する義務があった。

 その保険料は発足当時は35歳未満は月100円、35歳以上は月150円であった。この額は改定が続き増額され今年4月から17,510円と、発足当時と比較すると100倍以上となった。

掛け金が一か月100円・150円と現在では考えられない額であるが、これでも当時は強い拒否反応があった。様々な考えがあり、将来の年金原資を国民に負担さすのはとんでもない国費で賄うべきとの考えがあった。何十年も先に年金を受給できる頃には国政が変わり、すべて国費で賄うこととなる。年金保険料を払っていようが、払っていなくても等しく全員に年金が支給される。国民年金制度に加入しなくても良い。今保険料を納めているものは支払う必要はないと強硬に運動をする勢力があった。

 当時は強制加入でも国民年金に加入しない人。加入していても納付を拒否する人もありこれらの人を説得するのが大きな業務の一つである。保険料を納めない人には「あなたが納めなくて将来年金を受給できないのは勝手であるが、納めている人にたいして納めるなと言うのはやめて欲しい。」とお願いに行っても自分たちの主義に凝り固まっている人たちには聞く耳が無いようである。

 納めていない人には二通りあって、自分の主義で納めない人と、納めていなくても将来年金がもらえるのなら納めないほうが良いと思う人である。

 毎日納めない人宅を訪問して「将来は分からないが、国民年金法と言う法律があるのだから納めて欲しい。将来政治がどうなるか分からないが、納めていない人・納めた人に同じ対応は無い。他の人が年金をもらう年になっても、あなたはもらえないこととなるが良いのか。」等、説得する日々であった。

 この程度で了解してもらえることは少ないが、「納得は行かないが、国民なら法を守る義務がある。」「全体納得は行かないが、若い職員が何回も来て気の毒だから払おう。」などと渋々でも了解してもらったときはうれしかったものである。

 現在、ごく一部の人を覗いては一定の年齢がくれば額はともかく月々年金が入っているが、当時、年金加入・保険料の納付を拒否した人は後悔はないのだろうか。納付を拒否して年金を受給できないのは当然であるが、他の人達に年金の加入・保険料の納付を否定する言動をとった人たちは責任感をかんじているのであろうか。

by hirosan_kimura | 2025-01-13 11:52 | Comments(0)

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