№54 鰆浜の「鰆」
2009年 02月 04日
阿品の字のひとつ「鰆浜」は、昔この浜で鰆がたくさん獲れたことに由来すると伝えられている。
今は鰆の姿を見かけることもないが本当のことだったらしい。
明治の初め頃までは毎年春になると、鰆が産卵のため太平洋から豊後水道に入り、瀬戸内海の島々を経由して、鰆浜の沖が回遊の場所となっていた。
当時は海も綺麗で、海底には産卵場所となる藻場もたくさんあったが、今は見ることも出来ない。
鰆が来ると海面の色が青黒く変わり、海が盛り上がるかと思われるほどの大群が押寄せたと云われていた。
毎年春になると海を見下ろす鵯山の頂上には、鰆の大群が押寄せるのを見張る看視人が居り、大群を見つけると部落の人に合図を送った。
この合図と同時に部落の人は総出で大急ぎ網を引く準備をしたり,手伝いの人々が浜辺に集まったと云われる。
何時の時代か分からないが、鰆浜に鰆が押寄せることも無くなり「鰆浜」の「鰆」も夢物語となってしまった。