№16 地名「阿品」
2008年 12月 28日
「阿品」の地名の由来は諸説あるが、残された文書も少なく確定できる証拠はない。天正8年(1580年)の文書には「アシナ」、元和5年(1619年)の文書には「阿字名村」と記されている。
阿品の標記には「あしな」「アシナ」「アジナ」「阿字名」「阿品」等が古文書に残されている。
地元では、神武天皇由来説、阿品の神社の氏神の一つ「足摩乳命(アシナツチノミコト)」に由来説が言い伝えられているが、神武天皇由来説は信憑性が薄く、足摩乳命由来説は学者によると祭神を地名とするのは極めて例が少ないと言われている。
現在の標記「阿品」は「阿」にも「品」にも意味は無く、「あじな」の発音に漢字を充てたに過ぎないらしいが、「あじな・あしな」も「あ」と「じな・しな」でなく、「あじ・あし」と「な」と解釈するほうが、地名の解明に繋がると言われる。
「あし」「あじ」は低湿地・崖地・端・谷の奥・葦の生えた所・網等を意味し、「な」は魚・波・鳴るの古語・場所・野・沼地・浦等の意味がある。
以上推測すると、「漁業関係由来説」と、自然・地形に由来し「低湿地の土地」「崖のある土地」「谷の奥の土地」等から来た地名との考えもあるが、何れも推測の域を出ない。
近辺に宇品(うじな)・丹那(たんな)・日宇那(ひうな)・温品(ぬくしな)と語尾に「な」の付く地名がたくさんあるが、「あじな」の「な」と関係あるのではなかろうか
別の説では、昔阿品の海岸沿いは海水と淡水が入り混じり、アシ(芦)やハマツナ等の植物が沢山生えていた。アシの沢山あったところから「アシナ」の地名が生まれた説もある。
岩国市の山間部にも「阿品」という地名がある。この地名の由来は行基菩薩がこの地を訪れた際、山の峯に「阿」の字を見たと言われるもので、「阿」は密教では特別の意味があるらしい。
この地の「阿品」は「阿志南」「阿字名」とも標記された。
岩国の「阿品」は、我々の住む「阿品」とは何の関係も無いらしい。