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by hirosan_kimura

№465 遠足の弁当

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 今の小学生も遠足は学校の年中行事のひとつとして楽しみにしているが、戦時中も遠足は行われており今の子どもたち以上に楽しみにしていた。

 遠足といっても徒歩で行ける場所で、速谷神社・海老山・大野の滝などで自分たちが小学校時代に行っていた所と余り変わっていなかった。

 遠足の楽しみといえば弁当を食べることであるが、食料の乏しい時代であったので「おにぎり」に「梅干」か「たくあん」くらいしか持って行ってはいけなかったそうである。それでも麦ご飯や代用食などの貧しい食事ばかり食べていたので、白いお米のむすびと梅干のみの弁当でも嬉しかったそうである。

 遠足の前にたまたま玖波の人が、阿品に小エビを売りにこられたそうである。阿品の人たちは買った小エビを味付けして煮たものを弁当のむすびの中に入れたそうである。むすびに包んであるので中に小エビの煮付けが入っているのが分からないだろうと思ったのかもしれない。

 学校に集合した際、子どもの誰かが喋ったのかも分からないが、阿品の子どもたちの弁当のむすびの中に小エビの煮付けを入れているのが先生に知れてしまった。

 先生は弁当の中におむすびと梅干以外の物を入れているので、阿品の子どもたちにすぐに家に帰って弁当を作り直してもらって来るように言われたそうである。

 阿品の子どもたちは家に帰ったが、弁当を作り直してもらって再び学校に行かなかったそうである。その日は遠足の行き先が大野の妹背の滝であったのかも知れないが、阿品の子どもたちは国道を見下ろす山の上に登り、山の上から遠足に歩いて行く行列を見下ろしたそうである。

 これは阿品のある人から、子どもの時代の思い出のひとつとして聞いたことであるが、遠足をずる休みして後から先生にひどく叱られた記憶もないそうである。

 小エビの煮付けをくるんだむすびは、皆で楽しく山の上で食べたのであろう。今の子どもたちが、遠足の弁当はおむすびと梅干しか入れてはならない話を聞くとどんな思いをするのであろうか。
by hirosan_kimura | 2012-06-02 09:57 | 子どもの生活 | Comments(0)