№125 まてがい
2009年 04月 18日
この貝は分葱を入れたヌタにしたり、天ぷらや煮物にして食べていたが余りおいしいとは思わなかった。阿品ではなんと言っても「あさりが一番で」、どんな料理にしても美味しかった。「まてがい」はたくさん採って帰ると母親に迷惑がられるぐらいであった。
「まてがい」は土を掘ってとる人もあったが、地中深く潜るので子どもは先を曲げた針金や、食塩を使って採っていた。
「まてがい」の居そうな場所の土をうっすらと土をめくると、楕円形の「まてがい」の居る穴が現われる。その穴に30~40cmくらいの長さの針金の先を丸めたものを差し込むと、「まてがい」下部分に丸めた針金が引っ掛かるので、静かに持ち上げると「まてがい」が採れるので有る。
余り勢い良く針金を引き揚げると貝の肉部分が引きちぎれ、貝殻と僅かな肉部分しか採れず、テクニックを要する採取方法である。
子ども達はこの採り方が面白いので、飽きもせず「まてがい」採って居た。
もうひとつの方法は「まてがい」の穴を見つけて、その穴に一つまみ弱の食塩を入れると「まてがい」が地面の上に少し飛び出るので、素早く先をつかんで引っ張り上げるのである。
「まてがい」が出たらすぐ掴まないと、また地中に潜るので素早くしないとならないが、勢いが余ると身の部分がちぎれるので、なかなか難しいものである。
「まてがい」は採るのは楽しくいくらでも採れていたが、たくさん採れた「まてがい」をほとんど海に捨てて帰ることもあった。
今の子ども達はこのような経験が少ないので、このような「まてがい」採りを経験させると案外夢中になるかも分からない。
海から遠い山奥から貝を採りに来た人が、バケツ一杯「まてがい」を掘る人もあったが、たくさんの量をどのようにして食べられるのか不思議に思ったものである。
阿品でたくさん採れていた「まてがい」も、バイパスの工事で海が埋立てられたせいか、海の汚染によるものか、今ではなかなか見かけることが無くなった。